●イスファハーニー(イスバハーニー)
アジア アジア AD897
897〜967 アラブ史家で文学者・詩人。ペルシアのイスファハーンで生まれたが,生粋のアラブ人で,シーア派を信奉していた。バグダートで勉学し,ブワイフ朝の宰相アル=ムハッラビーの庇護を受け,生涯の大半をここで過ごした。その後アレッポのハマダーン朝の君主で,文芸愛好家であったサイフッ=ダウラの宮廷でも温かく迎え入れられたが,バグダードで他界している。主著は『キターブ−ル−アガーニー』(詩歌の書)という大著である。彼はここにそれまでの詩歌の粋を集め,豊富な詩の引用ばかりでなく,詩人の伝記,作曲者たち,歌手などに関する詳細な情報を付している。さらにイスラーム以前のアラブ諸部族,彼らの社会生活,ウマイヤ朝の宮廷生活,アッバース朝カリフたち,とくにハールーヌッ=ラシード時代の社会的諸相・詩人および作曲家をとりまく世界について,多くの貴重な事実を伝え遺している。この書はそのまま,ジャーヒリーヤ時代からイスラーム登場後ヒジュラ暦3世紀(9世紀)末にいたる,アラブ文明概説であるといえよう。現存する彼の著作としては,ほかに歴史書『マカーティルッ‐ターリビイーン-ワ-アフバールフム』(アブー=ターリブ一族の闘いに関する情報)がある。この著作は,アリーとその子孫に関する重要な情報を含んでいる。ほかの著書については,その名が知られるのみである。