●イクバール
アジア インド AD1877 英領インド帝国
1877〜1938 インド=ムスリムの詩人,政治思想家。パンジャーブ州に生まれたイクバールは,ラホール大学で哲学を学び母校の講師となった。そのころウルドゥー語の詩人として名声を確立,インド=ナショナリズムを謳いあげた。1905年渡欧,スーフィズムの研究で学位を得,帰国後,郷里で弁護士を開業。ニーチェやベルグソン哲学の影響は西欧文明に対する懐疑・ナショナリズムの否認へと彼を導いた。パン=イスラミズムが思想的中核となった。多くのムスリム青年を魅了した長詩『自我の秘密』(1915),『没我の神秘』(1918)がペルシア語で書かれたのもこの思想転換に対応していた。ところが1930年にムスリム連盟アラハバード大会で議長に推挙されると西北インド諸州の分離構想を打ち出し,ヒンドゥー−イスラーム2民族論を唱えた。それは1940年代以降の重要な争点となるパキスタン案の直接的先駆であった。晩年彼は再びウルドゥー語の詩集を出版,ムスリム単一国家の創建を希求した。