●暗夜行路 あんやこうろ
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志賀直哉の長編小説。前編・後編よりなる。前編には「序詞」があり,1910年(大正9)1月,「謙作の追憶」と題して「新潮」に発表。前編は1921年1月より8月まで,後編は1922年1月より断続して「改造」に発表,1937年(昭和12)4月完結した。志賀直哉の代表作であるばかりでなく,近代日本の代表的な長編小説である。〈私が自分に祖父のある事を知ったのは,私の母が産後の病気で死に,その後二月程経って,不意に祖父が私の前に現れて来た,その時であった。私の六歳の時であった。〉ではじまる主人公時任謙作(ときとうけんさく)の〈暗夜〉にも比すべき苦悩は,祖父と母の不義の子として生まれたという出生の秘密と,結婚に及んで妻直子(なおこ)が従兄に犯されるという事件のなかで,きわめて誠実に描かれている。東京・尾道・京都・山陰など謙作の行路はつづくが,最後には大山(だいせん)の大自然に融和していく。〔参考文献〕高橋英夫『志賀直哉』1981,文芸春秋