●アンナン
アジア ベトナム社会主義共和国 AD
中国がヴェトナムにつけた歴史的呼称。これにならって,外国人も安南と呼んだ。安南は「南を安んずる」の意で,中国のヴェトナム侵略に並行して出現した造語であり,中国の支配者意識が込められている。この語の始まりは,3世紀の安南都尉,安南将軍であろうが,中国がヴェトナムを安南と称するようになったのは,唐が現在のハノイに安南都護府を設けてからである。(679,調露1)。ヴェトナムの独立後も,中国はその支配者意識を捨てず,中越両国の交渉で越南が成立(1803,嘉慶8)したのちも,安南の呼称は生きつづけ,フランスも中部直轄地を安南と称した。しかし,ヴェトナム人は自らを越・越族・越南と称し,大瞿越・大越・越南・大南などの国名を唱えてきた。安南は中国側の造語であり,ヴェトナム人が自主的に命名した呼称ではない。現在では死語になっており,国際的な友好と連帯の精神からいっても,このような呼称を公に用いてはならない。〔参考文献〕後藤均平『ベトナム救国抗争史−ベトナム・中国・日本』1975,新人物往来社