●アンデルセン
ヨーロッパ デンマーク王国 AD1805 オレンボー王家
1805〜1875 デンマークの有する世界的詩人・童話作家。ヒューネン島のオーデンセに貧しい靴屋の息子として生まれ,14歳のとき志を立ててコペンハーゲンに出て,やがて上流社会の人の知遇を得て学業を終えた。貧困と孤独のなかでも夢と信念を失わなかった幼少期の模様は,自伝『わが生涯の物語』(1846)に詳しい。初め俳優を志したが,やがて文筆に専念し,学生時代にすでに最初の詩と戯曲を発表している。しかし彼の名を一躍高からしめたのは,日本でも森鴎外の名訳で親しまれている『即興詩人』(1835)であった。当初この抒情的小説を高く評価したのは,祖国デンマークよりもドイツであって,以後も彼の作品は,まずドイツで認められ,主としてドイツ語を通じて全世界に流布された(アンデルセンという呼び方もドイツ語風で,デンマーク語ではアネルセンというのが正しい)。同じ1835年に最初の童話集も出版された。アンデルセンは終生独身で,生涯の多くを国外の旅に過ごし,いく編かの旅行記を執筆している。したがって彼の文学活動は各ジャンルにおよぶ広汎なものであるが,その本領は童話で,全部で168編の創作童話を残している。それらの童話は子供の読物であると同時におとなのためのもので,子供心に印象を与えた話の真意は,おとなになって初めて理解される。子供に親しみやすい多くの傑作童話のほかに,彼はまた『淋しきヴァイオリンひき』(1837),『絵のない絵本』(1840)などの名作を残しているが,これらはことにおとなのための童話の感が強い。そして,全作品の基調をなすのは,彼の悲痛で多彩な人生体験に裏打ちされた,独特の哀愁とふかいヒューマニズムである。1867年オーデンセ名誉市民。彼の葬儀には国王・王妃が参列し,デンマーク全土が喪に服した。