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●アンデス

南アメリカ 南アメリカ AD 

 南アメリカ大陸の両側をほぼ南北に走る世界で最も長い山脈である。アンデス山脈を領土の一部とする国は南からチリ・アルゼンチン・ボリビア・ペルー・エクアドル・コロンビア・ベネズエラである。

【地形と地質】安定した大陸プレートの下に,太平洋側から海洋プレートがもぐり込むところにあたっている。太平洋を取り囲むほかの地帯と合わせて環太平洋造山帯と呼ばれるように,地殻運動が活発で,地震や火山活動も多い。この山脈と対になっているペルー・チリ海溝とのあいだの比高は1万mを超える。

 山脈の幅は中央部(ボリビア付近)で600kmにも達する。ここでは西山系と東山系,および両山系のあいだに分布するアルチプラノ高原という三つの地形単位に分かれる。西山系では第3紀に噴出したイグニンブライトの台地と第4紀の成層火山が特徴の地形となっている。岩石の種類はアンデスの岩(アンデサイト=安山岩)が主である。一方東山系は海成の化石を含む古生層からなり,それを花崗岩が貫いている。この火成活動によって,ペルーの金・銀・銅,ボリビアのすず,チリの銅・鉄などの鉱産資源が生じている。

 チリではさらに海岸よりに海岸山脈と呼ばれる低い丘陵性の山地があり,西山系とのあいだに中央縦谷が発達し,同国の生産活動の場となっている。それに対してボリビア以北ではアルチプラノ高原のみならずアンデス山地全体が伝統的な住民の主要な生活の場となっている。

【気候と農業】アンデス山脈は北緯10°付近から南緯55°付近まで続いているので,気候も緯度によってさまざまである。赤道アンデスでは偏東風による雨量が多く,一年中多雨である。コロンビアアンデスの北斜面では赤道偏西風による雨を受け同じように一年中非常に多雨である。気温や降水量の年変化はあまりなく,気候は主として高度によって変わる。山麓は熱帯雨林となっていても4,800mを越えるような山頂には氷河が発達している。その中間に位置する気候の温和な地帯がトウモロコシ・ジャガィモなどを主とする農業生産の場であり,人口が多い。ペルーアンデスの西山系は雨が非常に少なく,人が住めるのは上流部に氷河があって一年中水が絶えることのないような谷の平野部に限られる。農業経営の形態は封建的なアシエンダ農場制から共同農場制へと変わってきているが,綿花やトウモロコシなどの農業は機械化され大きな規模で行われている。農民の多くは農業経営の技術をもたない農業労働者である。ペルー・ボリビアの東山系やアルチプラノでは12月〜2月が雨季で,気候も温和なので,この時期が農耕期となる。インカ時代から続いている灌漑施設によって,山地の斜面が広く耕作され,人口密度も大きい。しかし農業はほとんど自給自足的に行われ,域外へ移出される農産物の割合は非常に低い。また放牧によって羊・山羊・ヤマなどの家畜が飼われているが,やはりほとんど域内の消費にまわされる。海岸地帯の都市や農業地域への労働者の供給地ではあるが,国家経済の面からみれば,人口は多いけれどもきわめて閉鎖的な地域となっている。ボリビア南部からチリ・アルゼンチン3国国境にいたるアンデス山地は亜熱帯高圧帯に属することもあって,雨量も100mmにも達せず,また乾季である冬期の夜間の冷え込みもきびしい。そのため,農耕は不可能で,羊・ヤマなどの放牧に使われるのみである。チリのアンデスでは雨は偏西風によってもたらされる。地中海周辺地域と同じように冬が雨季で夏は乾燥する。農業が行われているのは30°以南の平地だけで,とくに中央縦谷部は麦やブドウ栽培などを主とする農業が盛んである。南部は牧畜が主となる。南部チリでは偏西風による降雨が一年中あり,過湿となっている。さらにフィヨルドに示されるような氷河地形のため広い平野はなく,人口は稀薄である。