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●安世高 あんせいこう

アジア 中華人民共和国 AD 

 生没年不明。中国,後漢の桓帝(在位146〜167)のころの訳経僧。安清・安侯ともいう。安息国(パルティア)の太子であったが,父の死を機として出家し,阿毘曇の学および禅経を修めた。桓帝治世の初めころ洛陽にいたり,次の霊帝(在位168〜189)の時代にわたる約20年間,もっぱら経典の漢訳に従事した。訳出経典は,『四諦経』『転法輪経』『八正道経』『安般守意経』など34部40巻に達したといわれる。いずれも小乗経典に属するものである。彼はのちに後漢末の騒乱を避けて南方へ渡り,会稽(浙江省)において没したといわれるが,明らかではない。同じころ洛陽において訳経に従事した僧に月氏出身の支婁迦讖がおり,13部27巻の大乗経典を訳出している。すなわち,初期の中国仏教においては,原始的な思想形態の小乗経典と,著しい発達をとげた教義思想をもつ大乗経典とを,同じ1人の釈尊の教説としてともに受容するという特異性をもつわけであり,まことに興味深い。