●アンサール
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“助ける人”を意味するアラビア語で,イスラーム史の術語としては,預言者ムハンマドに協力したメディナの住民をさす。610年ムハンマドは自ら預言者と自覚してメッカで伝道を始めたが,当時メディナでは,ハズラジ族とアウス族とが対立して内戦状態であった。たまたま620年にメディナからメッカの偶像神殿に来た巡礼がムハンマドの教えに共鳴し,そこで彼をメディナに招き,部族間の争いの調停を依頼しようとした。ムハンマドも激しい迫害でメッカに見切りをつけたので,その招きに応じ622年移住(ヒジュラ)を決行した。メッカから預言者に同行した移住者(ムハージルーン)とアンサールはともに彼の指導する教団国家の重要な構成員であったが,この両者のあいだに微妙な対立があったらしく,預言者が死ぬと,アンサールは独自の指導者を擁立しようとした。結局ムハージルーンのアブー=バクルがカリフ位につき,その後アンサールは教団国家内の指導的地位から消えた。