●アブドッラー
AD1797
1797〜1854『アブドッラー物語』の著者。マレー半島のマラッカに生まれ,厳格な父の下でタミル語・アラビア語・マレー語を習得し,13歳で,のちにシンガポールの建設者となるトーマス=スタンフォード=ラッフルズの書記となる。急速に変化していく19世紀のマラッカとシンガポールで,外国人にマレー語を教えることを職業として生き,東南アジアにおけるヨーロッパ諸国が植民地獲得に狂奔する時代の証人になる。その自伝『アブドッラー物語』はマラッカと,イギリスの植民地として変貌していくシンガポールをマレー人の側から見た正確な記録として貴重な史料であり,またマレー近代文学の先駆的な作品でもある。ほかに『アブドッラーの旅行記』『アブドッラーのジェッダ旅行記』,タミル語から訳した『ガリラとダミナ物語』などがある。また重要な史料『スジャラ・ムラユ』(ムラユ王統紀)を初めてシンガポールで印刷出版している。