●圧力団体 あつりょくだんたい
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特定の社会集団が自己の特定の利益をうるために,時の政治勢力になんらかの方法で圧力を加える場合,この集団を圧力団体と称する。このような集団は昔から実在していたが,明らかな組織と行動方法をとりはじめたのは最近のことである。それというのも,資本主義の高度化と文明の発展は,職能に複雑な分化と拡大をもたらした。そのことで,近代民主国家のもっている代表の原理が変質し,それまで機能してきた地域有権者の意志は権力に反映しない事態が生じてきた。その欠陥を補うために,狭い地域を越えた特定の利益集団が政治活動の場に登場してきた。その利益集団,つまり圧力団体は,議会立法を自由にできる政党に資金を提供するなどして,利権を入手するのである。とくに20世紀に入ると,社会集団に対する政府の統制が強まり,その結果,政府が集団の目的達成のための正否を握ったので,民間の諸団体はきそって政治権力に対する圧力行動を開始するのであった。圧力団体はほかの社会集団や政治団体に比して,恒常的な組織をもって政治に圧力をかけ,時の政府の政策に影響を与えることはあっても,その責任を負ったり,自ら立候補して公職に就くようなことはしない,という特徴をもっている。今日の議会政治や政党政治にとって圧力団体はもはや病理現象ではなく,生理現象であることが理論的にも現実的にも理解されはじめている。アメリカの政治学者ディモックは,〈もし圧力団体の政治が,政党および形式的な立憲機構よりも,その意義と影響力において増大するならば,おそかれ早かれ,これらの集団を代議制組織の中に包含させる運動がおこってくるであろう〉と予測している。
圧力団体は首都や地方庁の所在地に本部や支所を置いて,議員や官僚に圧力をかける一方で,宣伝・署名運動などを通して支持者の拡大や所属議員の団結につとめる。このような団体で圧力活動に従事する人をロビイストと称する。彼らは平素から法案の内容・審議状況・議事手続をチェックし,さらには議員や公務員の性行や家族関係までも調査してこれらの人々と密接な関係をつくりあげ,ひとたび自らの集団の利害に関する法案や政策が現れると,その法案や政策の成否のために全力をつくすのである。なかには議員の提出する法案がロビイストによって作成されたものも少なくない。ほかにも,映画・刊行物・講演などの活動方法によるなど,表現方法はまちまちである。
日本の圧力団体は第二次世界大戦後に多くなり,その典型を次に掲げておく。[1]企業分野 日本経営者団体連盟・経済団体連合会・経済同友会・日本中小企業政治連盟,[2]労働分野 日本労働組合総評議会・全日本労働総同盟・日本教職員組合,[3]農林分野 全国共済農業協同組合連合会・全国販売農業協同組合連合会・全国購買農業協同組合連合会・日本林業協会・日本農民組合,[4]地方団体の分野 全国知事会・全国市長会・全国町村会・全国都道府県議会議長会・全国市議会議長会・全国町村議会議長会,[5]その他の分野 主婦連合会・目本医師会・日本薬剤師協会,以上のほかに日本国際貿易促進協会・日本郷友連盟・全国農地同盟・全国消費者団体連絡会などがある。
日本の圧力団体は,その組織においても活動においても,政党の下部組織のような活動をしている。それというのも,政党の組織が弱体なためである。その上,日本では官僚制が強く残っているために,議員立法よりも官庁立法がはるかに多いのである。したがって圧力団体の活動も官庁にその主眼が置かれることになるのである。ましてや日本の高級官僚は退職後,これまでの職場で緊密な関係を保持していた企業や団体の幹部に天下る悪習がある。いま一つ,圧力団体は個人的な非合理関係を通じて,とかく潜在的に行われやすいために合理的でなく,十分に整備されていない,というのが現状である。
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