●アーダ
AD
アラビア語で習慣・風習の意。しかしイスラーム法においては,シャリーアが触れていない慣習をさす。慣習が法的に強い影響力を示すのは,宗教儀礼の問題以外の諸問題であるが,その役割は時代・地域によって異なる。本来アーダはウルフ(父祖の慣習)と同じ意味をもち,イスラーム以前の慣習を意味していた。しかし時代が下るにつれて,シャリーアと併行して,それが律しきれぬ部分に対して定められる諸々の行政的法に,この慣習が大幅にとり入れられることになる。同時にイスラーム発祥の地から遠い地域では,アラビア半島の生活環境と状況がきわめて異なるため,慣習が法の内容により大きな比重を占めることは当然である。その度合は,生活環境そのものの特殊性によっても影響を受けるが,その地域のイスラーム性の強弱に左右される場合が多い。イスラームへの改宗時期が比較的遅いインドネシアのアダット法は,地域の慣行を大幅にとり入れ,シャリーアとの融合をはかった法の一例である。ちなみにアダットは,アーダの複数形が訛ったものである。