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●アジア的生産様式 アジアてきせいさんようしき

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 マルクス主義における歴史発展のある段階の社会構成を示す概念で,古代奴隷制社会に先行する最初の階級社会と考えられている。

【語源と定義】マルクスは1859年に著した『経済学批判』の序文のなかで,人類史発展の“画期”として古代的生産様式・封建的生産様式・近代ブルジョワ的生産様式と並べてアジア的生産様式を挙げた。しかし,マルクスはそれが具体的にはどのような社会構成なのか,また,どのような性格の時代であったかについて,ほとんど説明しなかった。そこで,以来,世界のマルクス学界・歴史学会では,これをめぐってさまざまな解釈がなされてきた。たとえば,[1]アジア社会に特有な歴史段階であり,独特な社会構成である,[2]古代奴隷制社会以前に発生した無階級の原始共産制社会である,[3]封建制のアジア的変種である,等々がそれであった。これらは1920年代の中国革命の高揚(1925〜27の北伐=国民革命)のなかで出てきたものであり,ソ連・中国・日本において大きな論議をまきおこしたが,問題は必ずしも深化されず,“古代奴隷制の一類型(アジア的変種)”という一応の解釈に落ち着いていた。ところが戦後,1939年にソ連で発表されたマルクスの遺稿『資本制生産に先行する諸形態』が公刊され,マルクスの考えていたアジア的生産様式の内容が具体的な形で明らかになり,上述の定義が有力化した。

【諸形態にみるアジア的生産様式の内容】諸形態のなかでマルクスは,“アジア的”なるものが存在し,それが古代的,封建的なるものと異なるのは土地所有形態にあるといい,アジア的土地所有においては共同体の所有はあっても個人の所有はなく,個人は共同体成員としてそれを保有しているにすぎない,と書いている。こうした理解は,個人が土地(耕地)を分配されるのみの存在であって,共同体から自立できないことを示しており,これは原始共同体の社会構成とも異なる。個人は共同体のある意味での奴隷だからである。しかも,マルクスは,このような共同体機能を国家的規模で管理し,支配し,共同体の生産と労働を貢納制度によって収奪しているのが専制君主であると指摘したのであった。以上のことから,アジア的生産様式とは原始共同体の解体によって発生した最初の階級社会ということになり,古代奴隷制的生産様式とも異なることが明らかになった。とすれば,その典型は中国・インドにとどまらず,エジプト・メソポタミアなどの各古代専制国家に普遍的に見出すことができるばかりか,律令体制以前の日本もその範疇に入ることになる。

 その意味で1960年代以降,アジア的生産様式の問題が国際的な関心を呼んでいるのは,この問題が単に“アジア”の問題ではなく,世界史の基本法則にかかわる問題であることを,世界のマルクス学者がやおら認識し始めたからにほかならない。