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●亜寒帯 あかんたい

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 温帯と寒帯とのあいだにあたる高緯度地方をさし,冷帯または冷温帯ともいう。大体北緯45度から北緯70度付近の大陸内部から東部にかけて広がり,南半球にはみられない。ケッペンの気候区分によれば,最暖月の平均気温がセ氏10度以上で,最寒月の平均気温がセ氏−3度末満の地域をいう。面積では,陸地の約21%を占める広大な地域であるが,人口は世界の約1%しかなく,暗くて長い厳しい冬と短い夏があり,気温の年較差が最も著しい地域である。

【気候】1年を通して降水があり,夏は温暖になる亜寒帯湿潤気候(冷帯多雨気候ともいう)と気温の年較差が大きく冬の寒さがとくに厳しい亜寒帯夏雨気候(冷帯冬季小雨気候ともいう)に分類されたり,気温と植生とから月平均気温が高く,月平均気温セ氏10度以上の月が4カ月以上続く大陸性混合林気候と,それ以下でその北側に分布する針葉樹林(タイガ)気候とに分類されることもある。亜寒帯気候に影響する気候因子には高緯度であることと,海洋の影響よりも大陸の影響の大きい大陸性気候があげられ,冬季は北極気団におおわれ,極偏東風系に入り,海岸地方を除いて暖気の流入がなく降水量が少なく,日射量も非常に少ない。夏季は北極前線の南側となり偏西風系に入り,400〜500mmの降水があるが,蒸発が少ない。ヨーロッパのスカンディナヴィア半島を西端とし,ヨーロッパロシア,シベリア西部やカムチャッカ半島,北海道・北アメリカ北部に広がる地域は1年中降水があるのに対して,ユーラシア大陸北東部のシベリア東部から中国の東北・華北地区にかけては降水が夏に多く森林の様相がやや異なっている。また,ユーラシアと北アメリカ大陸は東西に伸びる大陸規模の相違から,ユーラシア大陸では西部が東部より降水量が多く,気温の年較差が小さい。北アメリカ大陸では,逆に西部が東部より降水量が少なくなる傾向が強い。ユーラシア大陸北東部は世界の寒極と呼ばれるように気温の年較差はきわめて大きく,オイミャコン(北緯63度16分,東経143度15分,海抜高度800m)では1933年2月6日に記録したセ氏−77.8度は現在,北半球で最低気温となっているし,かつ,気温の年較差は通常67度もある。シベリア地域では冬季にしばしば大規模な気温の逆転現象がみられる。降雪はユーラシア大陸では西部に多く,東部に少ない。ブランと呼ばれる吹雪を伴った北東風はシベリア地方から中央アジアに,ブリザードはカナダ北部から中央平原や北東部地方に吹雪をもたらす。

【植生・土壌】南部は温帯混合林と境界をなす広葉樹(ブナ・カバ・カエデなど)と針葉樹(モミ・ツガ・トウヒ・カラマツなど)の混合林が分布し,北部はエゾマツ・トドマツなどの針葉樹林帯が分布する。シベリア地方ではマツ類・モミ・カバなどが,北アメリカではモミ・アメリカスギ・ツガ・カエデなどが多くみられる。シベリアでは伐採や山火事で拓かれた土地にカバ・ポプラなどの広葉樹が生長して二次林がみられる森林地帯を白タイガと呼び,針葉樹林の純林地帯を黒タイガと呼んでいる。土壌はポドソルと呼ばれる酸性の強い耕作に不向きの灰白色土が分布する。北緯50度以北では永久凍土層が北にに向かって厚く形成される。

【生活】一般に寒冷のため開発は遅れた。初期の移住者はタイガに住む毛皮獣を求めてやってきた。また今世紀に入ってから森林の開発がすすみ,木材・パルプの大産地となっている。また,寒地農業の北進に伴って,農業集落が増えているが,一般には河川や鉄道に沿った交通の便の良い所に立地し,大部分は人口密度の低い地域が多く,居住地は点在している。オビ川上流域ではマジャール系の人々が居住し牛の放牧を,下流域ではサモエード人がトナカイ遊牧を,レナ川流域ではヤクート人が,アムール川流域から中国にかけてはツングース族が居住し,林業・水産業を主体に生活をしている。タイガ地帯の西部では春小麦・ライ麦・エン麦・ジャガイモなどがどこでも栽培される。北アメリカ大陸ではセントローレンス川流域から五大湖周辺にかけては工業地域および酪農地域として都市化が進んでいる。中央平原では春小麦地帯が広く分布する。アラスカからカナダにかけてはサケとアザラシの毛皮が主要産物であり,今世紀に入り,貴金属や石油・ウラン・石炭・鉄鉱石の開発によって林業と紙・パルプの工業とともに,鉱業が発達し,鉱山都市も点在している。