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●アガペー

ヨーロッパ ギリシャ共和国 AD 

『新約聖書』によって確立されたキリスト教的愛の概念でエロス(eros)と対比させることが多い。エロスが、その典型である男女間の性愛にみられるように、愛の対象のもつ価値に惹かれるのに対して、アガペーは対象そのものに向かう愛である。エロスが対象を介してより高い価値に向かう自己中心的な愛であるのに対して、アガペーは他者中心的な愛であり、自己犠牲自己否定的な性格の愛である。新約聖書においては、アガペーはまず神の人に対する愛として現れる。一部を引用すると〈キリストがわれらのために死なれることによって、神はわれらに愛を示された〉(ロマ書5・8)とある。アガペーはまた同時に、人の神に対する愛であり、人々相互の隣人愛でもある(マタイ福音書22・37〜40)。代償を求めての打算的な愛ではなく、本質との純粋な交流をめざすアガペーは、宗教性の真髄を表す概念である。またそれは、利己的関心を原理とする近代市民社会にあっては、宗教性とは別の意味でも、示唆する多くのものを含んでいる。