●アーヴィング
北アメリカ アメリカ合衆国 AD1783
1783〜1859 ニューヨーク生まれのアメリカの随筆家・作家。『ニューヨークの歴史』(1809)で文才を高め,1815年から17年間商用でヨーロッパにとどまるあいだ短編集『スケッチ‐ブック』を出版し,ヨーロッパで名声を博した。そのなかでも,浦島伝説を基礎にアメリカの国情が変わったことへの悲哀を描いた『リップ=ヴァン=ウィンクル』や,アメリカから消えゆくヨーロッパ文化の末裔とたくましいアメリカン‐ヒーローとの死闘を描いた『スリーピー‐ホロウの伝説』が有名で,そのほかヨーロッパの風俗・習慣を描いた「ウェストミンスター寺院」「傷心」など32編から成り立ち,現代でもなお心を打つものが多い。1826年から3年間スペインに滞在した際の見聞録『アルハンブラ物語』は宮殿を中心に繰りひろげられるエキゾチックな歴史と,夢幻のロマン主義との融合である。帰国してからは伝記作家として『オリバー=ゴールドスミス伝』(1840),『ジョージ=ワシントン伝』(1855〜1859)を公刊している。アーヴィングの文学は,主題はやや古きに失した感があるが,その天衣無縫の文体は無限の美しさと優しさを秘めていて今でも親しまれている。