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●アイデンティティー

AD 

 自己同一性。形式論理的に「AはAである」というのは,すべてのものはそれ自身に等しいという思惟の要求を表している。これを哲学の原理に高めるとき,客観の側においては実体の自己同一性が,主観の側においては主体の自己同一性が考えられる。前者は個々のものがそれ自身に等しいのみならず,すべてのものが結局において唯一の実体に属して,この実体がそれ自身に等しいという見地である。後者は個々の主観がそれ自身に等しいのみならず,カントにおいてはすべての個別的主観の根底に先験的主観があり,その自己同一性によって認識が成り立つとされ,フィヒテにおいては〈自我は自我である〉という自己同一性が一切を産出する原理とされる。シェリングをへてヘーゲルにいたると,主体の自己同一性が弁証法的な自覚の運動をなして一切を産出するとされる。この観点は実体の自己同一性の観点に合致するようになる。